障がい者の在宅勤務は可能か? 法定雇用率の達成へ

障がい者の在宅勤務は可能か? 法定雇用率の達成へ

2021年3月に障がい者雇用の法定雇用率が上昇し、民間企業の法定雇用率は2.3%となりました。
これにより、雇用すべき人数の底上げが起き、これまで義務を負わなかった事業者の一部も障がい者の雇用義務が発生します。 

障がい者雇用の推進は、国民の誰もがその能力と適性に応じた雇用の場に就き、地域で自立した生活を送ることができるような社会の実現を目指すという理念のもと、国を挙げて進めている取り組みです。

また、昨今では「誰一人取り残されない」社会の実現を目指すSDGsの達成へ向けた企業や団体などの様々な取り組みも後押しし、注目度が高まっています。ただ、そうは言っても法定雇用率に定められた人数を採用するのは難しいと考える人事担当者は多いのではないでしょうか。

 

<起きやすい問題>
・業務内容やオフィス環境に合った人材を探すことができない
・配属先などの社内の協力がなかなか得られない
・お願いできる業務が切り出せない
・在宅勤務が増えてきてフォローアップがしにくい

企業によって起きる問題はさまざまですが、ここで検討してみたいのが、「在宅で働く障がい者の採用」です。
もちろん障がい者雇用の全ての課題を解決するわけではありませんし、新たな課題もありますが、障がい者雇用の可能性を広げる施策です。

 

慢性的な法定雇用率割れを解決する突破口 
「在宅勤務」

新型コロナウイルスの影響により、これまで難しいと考えられていた在宅勤務が半強制的に実行されたことで、テレワークの導入が一気に加速しました。マンパワーグループの調査では約80%の人がテレワークのメリットを感じており、改善しなければいけないところはあるにせよ、テレワークの継続ができると考えているようです。 

テレワークの印象

(参照)マンパワーグループ調査データ
「オフィスで働く会社員の約8割がメリットを実感!コロナ禍で進んだ「テレワーク」のメリット、デメリットとは?

https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/surveydata/20200817.html

 

在宅勤務を導入した企業では、環境面やルール等の整備も進み、通常の働き方のひとつとして継続を決めた企業も多いのではないでしょうか。 

マンパワーグループの特例子会社 ジョブサポートパワー株式会社では、2004年から在宅勤務の障がい者の採用を開始し、現在では約100名の社員が在宅で働いています。
在宅勤務で働く障がい者を増やすという人事施策を選んだのには理由があります。

まず、マンパワーグループが雇用を義務付けられている障がい者の人数は、稼働している派遣スタッフを含めた従業員数から計算されるため、相当数の雇用義務があります。

オフィスで働くとなる場合、全国にオフィスがあるにもかかわらず、採用エリアは環境の整った一部の拠点に限られ、通勤等の面からも採用できる障がいの種類が限られます。
また就業先オフィス内での業務だけでは、依頼できる業務量が少なく、採用活動が思うように進まない状況にありました。

そこで、オフィス外で対応可能な事務系業務を全国の拠点から切り出し、セキュリティ面や業務の特性(定型業務か非定型なのかなど)を考慮し、在宅業務として適した業務を選定。業務の進捗や業務量を管理する責任者を置き、管理体制を構築した上で在宅勤務を条件にした障がい者社員の募集を行いました。この施策は功を奏し、多くの応募者が全国各地から集まり、これまで採用できなかった優秀な人材の獲得に成功しています。

 

もちろん、最初からすんなりと在宅勤務社員を増やすことができたわけではありません。
障がい者社員の声、管理者の声、共に働く社員の声を聴き、試行錯誤を重ね、課題をひとつずつ解決してきた経験から、障がい者の在宅勤務のメリットと課題について解説します。

 

【資料ダウンロード】はじめての障がい者社員受け入れガイド<採用前準備編>
01. 障がい者雇用の義務について
02. 障がい者社員の最適なマッチングに向けて
03. 障がい者雇用 サポートサービス

 

 

障がい者の在宅勤務 メリットと課題

メリット

オフィスの改修が不要

既に自身の障がいの特性にあわせた環境が整っている自宅で勤務するため、オフィスをバリアフリーにするなどの改修が不要です。実際にバリアフリーとして設計されたオフィスであっても、ゴミ箱やLANケーブル、セキュリティカードセンサーの設置場所やドアの開閉など、運用面でも配慮すべき事項が多々でてきますが、それらを新たに考案する必要がありません。 

募集できる障がい者人材の層を広げることができる

バリアフリーにあわせたオフィスの改修・拡張が難しく、既存のオフィス環境に合わせて人材を募集採用する場合、募集できる仕事内容の幅が狭くなる弊害があります。在宅勤務であれば、前述のとおり自身の障がいの特性にあわせた環境が整っている自宅で勤務するため、オフィス環境による制限がなくなり、募集可能な業務や人材層が広がります。

 

母集団形成がしやすい

業務内容にもよりますが、一般的に在宅勤務は、障がい者から見ても魅力的な働き方です。
障がい者にとって、通勤やオフィスでの勤務は注意を払わなければならない点が多くあり、想像以上にストレスがかかることがあります。そのため、オフィス通勤が可能な人材にも、身体的・精神的な負担が少ない在宅勤務は人気があります。

 

安定的な勤務が期待できる

障がい特性から通勤が負担になる人も多いため、在宅勤務は体調管理がしやすく、障がい者も安定的に勤務することができます。
もちろん、通院のために定期的な休みが必要なケースは多くありますが、そこは通勤勤務であっても変わりません。
業務を安定的に実行できると、共に働くメンバーや管理者が急な業務を受けることも減るため、双方にメリットがあります。

 

依頼できる業務に幅ができる

障がい者が携わる業務が、単純作業や簡単な業務だというイメージをお持ちでしたら、それはもったいないことです。ジョブサポートパワーでは、エクセルのマクロを利用した帳票作成やホームページ制作、会社の予算管理やマーケティング業務などを幅広い業務を在宅社員が担当しています。

応募者が増えるということは、優秀な人材も獲得しやすいとも言えます。スキルを持った人材を採用できれば、依頼できる業務に幅ができ、業務の切り出しに困ることが減ってきます。

 

 

課題点

セキュリティの担保

障がいの有無にかかわらず、在宅勤務は万全なセキュリティ対策と社員への継続的な啓蒙活動が必須です。

会社が提供するファシリティを利用するオフィス勤務とは異なり、在宅勤務は個人宅で業務を行います。ジョブサポートパワーでは、自宅での就業場所に条件を設け、デスクトップPCを支給、ネット回線は会社で契約したものを個人利用とは分けて利用し、毎月セキュリティに関する教育を行うなどの対策を取っています。 

 

遠隔での教育や業務の進捗管理

対面であればジェスチャーや一緒にPCを見ながらなどの教え方ができますが、在宅勤務でのコミュニケーションの手法は、チャットやメールあるいは電話など、対面でのコミュニケーションと比較して非言語コミュニケーションの面で制限がある手法に頼らざるを得ません。

指導者には、伝え方の工夫が求められます。また、障がいを考慮したコミュニケーションツールの導入も検討する必要があります。
整備されたマニュアルを用意する、対面でないからこそリレーションシップがしっかりと出来上がるまでは、まめに連絡する、理解できているかを適宜チェックするなど指導者が迷わないように指導要領を作っておくのもよいでしょう。

 

対応できる業務が限られる

在宅勤務の場合、家でできる業務が前提になります。
主には事務処理やIT系業務が中心になり、軽作業・対面での接客業務は除外されます。

業種によっては、依頼できる業務が無いと思ってしまいがちですが、事務系業務を丁寧に棚卸しすることで見えてくることがあります。
ただし、障がいによっては一般社員の一人分の業務が二人で対応するに丁度よいこともあるため、状況次第で複数のポストを確保することもできます。

 

人間関係の構築には時間が必要

障がいの有無にかかわらず、画面越しまたは電話だけでのコミュニケーションで、人間関係を構築するのは、時間が必要です。リラックスできる雰囲気を作るには、管理者や共に働くメンバーからの積極的なアプローチが必要となります。

また、障がいの特徴によっては、発言するのに時間がかかることもあります。
そのため、一緒に働く社員への教育が重要な役割を果たします。障がいの特徴を知ることで、コミュニケーションにおける無用なストレスを避けることができるからです。 

 

目の届く範囲に部下がいない、または新しいメンバーと遠く離れて仕事をするということには不安がつきものです。
最初のうちは、試行錯誤することも多くあり、業務フローの変更や報連相の在り方も変えていく必要もでてくるでしょう。また、広く社内の協力も求めていくことになります。

しかし、在宅勤務という働き方を確立できれば、そのあとに続く採用はもっとスムーズに行えるはずです。最初の流れを作ることで、障がい者雇用が当たり前にできる環境が整います。

 

 

 

在籍社員を転籍 在宅で働く障がい者の人材紹介サービス

ジョブサポートパワーでは、在宅勤務を希望する人材の紹介サービスを提供しています。
大きな特長は、実際にマンパワーグループで就業していた人材を転籍という形でご紹介するというところです。 

障がいの特徴を踏まえ、業務にマッチするかを判断しご紹介しますので、ミスマッチを減らすことができます。
また、定着支援サービスとして、障がい者社員が安定的に働けるようサポートし、同時に一緒に働く社員の方へのアドバイスや研修なども実施します。

 

事例のご紹介

IT系企業/人事部

■業務内容
採用面接の日程調整(求職者・社員)、会議室予約、入社書類の確認とデータ更新、経理補助

■障がいの種類
体幹機能障害 

■ジョブサポートパワーでの経験業務
求人サイトへの求職者情報の登録業務、契約書管理業務、基幹システムのデータ整備業務、データ入力・集計業務 

■ジョブサポートパワーが提供したサポート
入社後3か月間、状況の確認とフォローアップを実施

 

アパレル関連/マーケティング部

■業務内容
販売サイトの商品、価格のチェック業務、掲載画像やレビューのネットパトロール、データ修正・更新

■障がいの種類
上下肢機能障害 

■ジョブサポートパワーでの経験業務
派遣社員の登録データの変更、更新、求人サイトのネットパトロール、ポータルサイト更新、データ入力、リスト作成とレポート集計、求人情報検索 

■ジョブサポートパワーが提供したサポート
6ヶ月間の定着支援を実施

 

精密機器メーカー/経理部

■業務内容
経理補助、同業他社情報の検索、社内アンケート作成と集計

■障がいの種類
腎臓機能障害 

■ジョブサポートパワーでの経験業務
財務部門からの経理処理、請求書データ入力 

■ジョブサポートパワーが提供したサポート
クライアントからの要望に応じてフォローを実施
 

早急に雇用したい、ミスマッチを極力減らしたい、定着まで支援してほしいなどのニーズがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

【資料ダウンロード】テレワーク+障がい者人材紹介サービス “キャリアトランスファー”
01. 企業が抱える障がい者雇用の課題
02. 「障がい者雇用+テレワーク」の弊社取り組み
03. 企業に急拡大するテレワーク
04. 新サービス”キャリア・トランスファー”概要
05. キャリア・トランスファーの特長
06. キャリア・トランスファーのサービス構成
07. キャリア・トランスファーの業務領域
08. セキュリティと教育
09. ご活用企業からのご意見
10. 弊社テレワークの取り組みへの評価・表彰
11. サービス導入スケジュール
12. 標準サービス導入料金表

       

障がい者の在宅勤務に関する動画セミナー

ウェビナー
【動画】障がい者の在宅勤務から見えてきたテレワーク術
マンパワーグループの特例子会社 ジョブサポートパワー株式会社では、10年以上に渡り障がい者の在宅勤務に取り組んできました。障がい者にとって在宅勤務は、安心感を得られる働き方であり、現在では約100名ほどが、在宅社員として業務に携わっています。このセミナーでは、ジョブサポートパワーが取り組んできたテレワーク術の概要を中心に解説します。

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