採用における母集団形成の意味とは?実施するメリットとポイントを解説

採用における母集団形成の意味とは?実施するメリットとポイントを解説

労働人口が減少傾向にある昨今、企業が必要な人材を確保するにはそれなりの戦略が求められます。やみくもに募集をかけても、「コストや労力がかかるわりに採用できない」「採用しても早期退職してしまう」といった事態を招きかねません。採用の初期段階における重要なポイントであり、採用成功の可否に直結するのは「母集団形成」です。ここでは、採用における母集団形成の基礎知識、それぞれの採用方法のメリットとデメリット、留意すべきポイントについて解説します。

 

母集団形成とは

最初に、採用における「母集団形成」についての基礎知識を説明します。

 

母集団はもともと統計学の概念

「母集団」という言葉は、もともと統計学で使われていた用語です。統計処理を行う際に、調査のために集めたサンプルのことを「標本」と呼びます。それに対して、調査対象となる全体像のことを「母集団」と呼びます。
標本は母集団から抽出した部分的な集合体であり、母集団は統計対象となる全ての集合、つまり母集団の一部が標本となります。

 

採用における母集団は「採用候補者の集団」

採用活動における母集団は、「採用候補者の集団」のことを指しています。ここで注意すべきポイントは、実際に応募してきた人材だけでなく、自社の求人・仕事内容に興味を持ち、今後、選考に参加する可能性のある人材も「採用候補者の集団」=「母集団」に含まれることです。

母集団形成は、単なる人集めという意味ではありません。将来、社員として活躍してくれそうな一定水準以上の人材であることが大切です。そのためにも、集団を形成する際に「採用候補者の集団」であることを意識しておく必要があります。

母集団形成に求められるのは、「採用ニーズにできる限りマッチした人材の集団をつくること」です。そこからさらに選定して、採用につなげる、という流れが理想的といえるでしょう。

 

母集団形成の方法

続いては、実際に母集団形成の方法について、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。

ハローワーク
広く告知できるだけではなく、あまり知られていないだけで実は多くの情報量を掲載できる媒体です。最もメジャーともいえる求人の募集方法であり、「採用コストがかからない」という点が魅力です。
その一方で、手続きに手間がかかる、掲載や選考時の各段階で自由がきかない、といったデメリットもあります。

 

人材紹介
条件に合致する人材を紹介してもらえるため、質の高い候補者を期待できます。中途採用を数名ほど希望する場合などに有効な採用方法です。
ただし、採用が決定した際に、採用決定者の年収のうち30~40%程度の紹介手数料が発生します。

 

求人サイト
比較的安価なコストで、幅広い求人が可能です。掲載地域が制限されにくいのもメリットの一つといえます。募集に関する多くの情報を掲載でき、絞り込む条件によってターゲットに近い人材を集められる可能性があります。

デメリットとしては、応募者の有無にかかわらず一定のコストが期間ごとに発生することです。また、検索条件によっては、絞り込みの段階で外されてしまうケースがあるのもデメリットといえます。さらに求人件数が多すぎて掲載ページが後ろのほうになってしまうと、見てもらえない可能性が高くなります。

 

特化型求人サイト
特化型求人サイトを利用すれば、求人サイトの良さを活用しつつ、その業界に興味や知識のある人材をより多く集めやすくなります。
ただし、最初からその分野に興味を持っている人しか閲覧しないため、訴求が一部に限られてしまい、思うように応募数が伸びない可能性があります。

 

合同説明会
求職者との直接対面で自社をアピールする機会が得られます。多くの来場者が見込まれるため、単独で採用活動するよりも効率的で、知名度の向上にもつながります。属性に特化した説明会に参加すれば、ターゲットの絞り込みも行えます。

その一方で、規模の大きい合同説明会は競争が激しく、上手に自社をアピールできないと他社に埋もれてしまう恐れがあります。説明会の規模が小さすぎると、十分に求職者が集まらない可能性も出てきます。
また、自社への応募が1人もいなくても参加費がかかる点もデメリットもあります。

 

求人情報誌
紙媒体のため、目に触れる機会は制限されますが、エリア特化型の求人には強みがあります。
地域性とターゲット層を想定して配布されている媒体が多く、「手にとってじっくりと見てもらえる」という点がメリットです。

一方、採用の有無にかかわらず掲載料が必要となり、掲載できる情報量も限られるのがデメリットです。

 

SNS
ソーシャルリクルーティングとも呼ばれる、SNSの圧倒的な拡散力を活用する採用手法です。
コストをかけずに、幅広い層へリアルタイムで情報を発信できます。自社の認知度を高める、企業のブランディングにも役立ちます。
ただし、すぐに採用につながる可能性は低く、継続的な情報発信が必要です。採用候補者との交流を深める、志向を探るなど、他の活動と併用することで効果を高めていきます。

 

ダイレクトリクルーティング
企業が自ら、人材データベースやSNSの中から必要な人材にピンポイントにアプローチする手法です。
ニーズに合った人材に声をかけるため、ブレのない母集団を形成できます。

ただし、ダイレクトリクルーティングを実施する際に既存の人事部員が対応することも多いため、特有のノウハウが必要となり、情報収集やコンタクトといった面で大きな負担を抱えます。
また、アプローチする人材を探すこと自体が容易でないため、ヘッドハンティングや人材紹介事業者、採用代行サービス(スカウト代行サービス)などを利用するのが一般的です。

 

自社サイト
自社のWebサイトに採用ページを設置したり、採用専用のWebサイトを立ち上げたりする企業も少なくありません。
自社の魅力が伝わる優れたサイトであれば、興味をもった人材からの応募が期待できます。最近ではインターネットの活用術として自社サイト内、あるいはYouTubeなどのSNS型動画サイトを利用した採用動画が効果を上げています。

ただし、応募者の多くは求人サイトを経由して来るのが一般的で、自社Webサイト単独での募集は難しいと考えられます。十分な情報を与えることができれば「採用活動の柱」にもなりますが、サイト制作費がかかる、効果が出るまでに一定の期間が必要となる、などがデメリットとなります。もちろん、応募を決定づける要素が十分に盛り込まれたサイトでなければ、母集団形成への役割を果たしてくれません。

いずれにしても優れたサイトづくりと、そのサイトへ人材候補を流入させるために、いかに知名度を上げていくかが母集団形成の可否へのカギとなります。

 

リファラル採用
自社社員の紹介による採用方法で「縁故採用」とも呼ばれています。
相手の身元や人柄などを事前に調べられるという点では安心感があります。

その一方で、候補者の仕事に関する能力や、自社のニーズとの兼ね合いについては未知数であるといえます。
また、不採用にした場合、紹介者への気遣いが生じるというマイナス面もあります。さらにリファラル採用のデメリットとしては、いつ紹介されるか不明であったり、大規模な母集団形成が難しかったりなど母集団形成のスピードと規模が想定しにくい点もあげられます。

 

アルムナイ制度
自社の離職者・退職者を再雇用するアルムナイ制度も、昨今の人材不足から多くの企業が注目しています。過去のデータから「自社ニーズへのマッチング」を図れるため、失敗が少なく、即戦力として迎え入れることができます。
教育、研修の負担を軽減でき、採用コストもかかりませんが、雇用条件や待遇、ポジションについて十分に検討し、同意を得ることが求められます。
そのほか、自社を離れた人材を再雇用するにあたって、既存社員の感情に配慮しておく必要もあります。

 

母集団形成における課題と注意点

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続いては、母集団形成の課題と注意点について解説します。

母集団形成における課題

母集団を形成する際に生じる主な課題は、大きく分けて以下の二つに分類できます。

人員数の問題
そもそも人が集まらない、集まっても選別をする人数には届かない、といった悩みが多く聞かれます。母集団形成は「人数が多いほど良い」というものではありませんが、採用目標に近づけるためには、一定数以上の人数で母集団を形成する必要があります。あらかじめ自社の採用規模を適切に設定し、「どの採用方法を使えば理想的な人数を集められそうか」を検討します。

 

✓マッチングの問題
予定していた人数が集まっても、自社のニーズにそぐわなければ意味がありません。マッチングに問題を感じた場合は、募集方法の見直しが必要です。紹介された人材に問題がある場合は、提示する条件の内容や表現を精査しなければなりません。例年どおりの手法でうまくいかない場合は、他社分析や市況などから原因を究明した上で、ターゲットに対する条件の変更や募集方法そのものの見直しが求められます。

 

母集団形成を行うときの注意点

では、母集団形成を行うときには、どのような点に注意すべきでしょうか。

✓ ターゲットに合わせた採用活動
新卒と中途採用では、当然ながらリクルーティングの内容も変化します。採用活動に取りかかる前に、「誰に、どのような手段で、何を伝えるのか」という明確な指針を打ち出し、それに沿って進めていくことが大切です。
単に「即戦力が欲しい」というのではなく、スキルや年齢層といった人材ニーズの枠組みを段階別に確認しておきます。

 

✓ 採用希望人数からの母集団形成
母集団の大きさは、採用希望人数から割り出した適正人数で決まります。母集団が小さすぎると、意図にそぐわない人材をやむを得ず採用しなければならなくなったり、応募者に辞退されてしまい、採用人数に届かなかったりする恐れがあります。
逆に、候補者が多すぎると、絞り込みに時間がかかり、採用に遅れが生じます。

 

✓ 採用活動の期間
ターゲットに応じて採用活動の期間も変化します。新卒採用の場合、準備期間を含めると1年以上必要です。就活ルール撤廃によりさらに長期化することも懸念されるため、開始時期の設定が大きな鍵です。
中途採用の場合はいつでも採用活動を始められますが、即戦力を求めるケースが多いため、長くても数か月になるのが一般的です。短期間に集中して実施していくには、円滑に進めるための「企業側の下準備」が求められます。

 

✓ うまくいかない場合の早期修正
「前年と同じ手法なのに動きが見えない」「応募者からの反応が芳しくない」といった様子が伺えるときは、早期に修正する柔軟な姿勢が必要です。
母集団形成の手法を追加する、思い切って中断し、他のやり方に切り替えるなど、過去の採用活動に固執せず、データを正しく読み解きながら次の一手を考えていく必要があります。

 

質の高い母集団形成のためのポイント

最後に、採用目的にかなう、母集団形成のためのポイントを紹介しておきます。

✓ ブレのないターゲット像
前述したように、求めるべき人材は「自社のニーズ」に合う人材です。
募集しているポジションの要件を明確化し、人事・当該部門などの採用関係者と認識をすり合わせることを重視しながら、母集団形成に臨みます。

 

✓ 誰に響けばよいのか
「候補者に対して何をアピールすべきか」という問題は、「誰に対して響く内容か」という観点で決めていきます。
自社のターゲットにとって「魅力あるベネフィットは何か」を考え、採用される側の視点で俯瞰(ふかん)してみます。ターゲット層に向けた緻密なリサーチがアイデアを生み出します。

 

✓ 母集団を形成する方法のメリット・デメリットを組み合わせる
母集団形成には数多くの手法がありますが、「絶対にうまくいく手法」というものはありません。それぞれに長短があることを理解し、互いに補完しあえる、メリットのある方法を同時並行で実施していきます。こういった対策を講じることで、確実性を高めることができます。

 

✓ 幅広い情報収集
自社の視点だけに凝り固まってしまわないように、採用市場、応募者側のニーズ、競合状況の確認などを随時実施していく必要があります。
求人・求職の状況は刻々と変化していきます。従来の手法がまったく通じない、ということも十分にあり得る話です。応募者側の意識の変化、競合する企業の採用活動について情報を分析し、それらを参考にしながら自社に有利な方向性を探っていきます。

 

✓ ターゲットに合わせたアプローチであること
どんなに良い内容を掲載していても、見づらい、使いづらいサイトでは求職者に嫌われてしまいます。PCやスマホ、タブレットなど、どの端末からでもユーザビリティに配慮した画面設計にしなければなりません。操作性に優れ、見やすく、わかりやすい画面は、「問い合わせ」や「応募」の増加に結びつく重要なポイントです。
SNSを利用する場合は、年代や属性などターゲット層に合わせて、どのメディアを活用すれば効果的なのか、露出方法やタイミングを考慮してアプローチしていく必要があります。

 

まとめ:採用につながる母集団形成をするために

採用目標が未達である焦りから、戦略のないまま採用活動を進めると、採用の長期化・不適正なコスト、不要な労力がかかる恐れがあります。
母集団形成は「企業のニーズに沿ったターゲット像」を明確にし、採用候補者の集団に反映させる意識が大切です。
思うように募集が進まないときは、アプローチの方向性に誤りがないかを逐一見直しながら、成果を出せる方法を模索していきます。母集団形成を開始する際に、「状況に合わせた修正点」も考慮しておくとスムーズに展開できます。

参考:令和元年版 労働経済の分析|厚生労働省

 

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