人材派遣を導入する企業側のメリット・デメリットと受け入れる際の注意点

人材派遣を導入する企業側のメリット・デメリットと受け入れる際の注意点

2020年4~6月における派遣社員の数は約137万人、雇用者全体の約2.4%を占めています。なかでも「事務職」が3割以上と最も多く、企業の多くが人材派遣を活用している様子が伺われます。経営の効率化、人材不足の解消に向け、これから人材派遣導入を検討している企業も少なくありません。人材派遣を活用するにあたり、知っておきたいメリットとデメリット、派遣社員を受け入れる際の注意点を解説していきます。

人材派遣サービスを活用するメリット・デメリット

すでに多くの企業が人材派遣サービスを利用していますが、メリット・デメリットを理解しておくと、業務効率をより向上させることができます。

メリット

✓ コスト削減

人材派遣サービスでは、企業が求める条件に適合する労働者が派遣されるため、求人を告知するコストや採用過程で発生する人件費も間接的に削減できます。

✓ 工数削減

書類審査や選考、面接などといった採用に関する工数が軽減されます。また、健康保険や雇用保険といった社会保険、給与計算などの労務系の処理は派遣会社で行われるため、派遣先企業では労務管理の工数も削減できます。

✓ 社員の業務最適化

事業活動をサポートするために必要な周辺業務を派遣社員に任せることで、自社で雇用する社員をコア業務に専念するよう再配置できます。ノンコア業務に割く時間を減らし、慢性的な残業時間の削減に役立ちます。

✓ 業務効率の向上

定型業務が大量に発生する時期のみ、人材派遣サービスを利用することで、閑散期・繁忙期に合わせたスタッフの増減が可能となります。作業遂行レベルに関しても条件がつけられるため、自社選考をせずにニーズにマッチした人材が派遣されます。Web制作、ITツールの操作、DTP、CADオペレーターなど、専門スキルに特化した派遣社員を、必要な時期に即戦力として迎えることができます。

デメリット

一方、デメリットとしては、以下のようなものが考えられます。

✓ 自社に業務のノウハウが残らない

契約が有期であるため、社内にノウハウが蓄積されづらい場合があります。

✓ 業務が制限される

派遣社員は就業期間に定めがあるため、「長期的な重要プロジェクト」などに携わる場合は、プロジェクト終了よりも派遣契約の終了が先になる可能性があります。

✓ コスト高となる可能性がある

派遣社員の入れ替わり頻度次第では、教育・指導の手間・セキュリティの問題などで工数・コストが増えてしまう可能性があります。自社雇用の社員ではないものの、派遣社員を新たに受け入れる場合にも教育や指導の工数やコストが発生する、と認識しておくことも大切です。

✓ 帰属意識の低さ

外部スタッフのため、自社内の社員と比較して帰属意識が低い傾向にあります。コンプライアンスやセキュリティに関する意識を確認するため、派遣社員に向けた勉強会などの実施も視野に入れておくことが求められます。

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派遣社員を受け入れる際の注意点

続いては、派遣社員を受け入れる際に留意しておきたい注意点です。

派遣社員の業務に関しては、確実な引き継ぎが必要です。契約終了時に適切な処理がなされていないと、自社の社員に作業要領が引き継がれません。必要な情報を残せるように手段を講じておく必要があります。

受け入れ側のルール周知の徹底も忘れてはなりません。

継続して長期間にわたって派遣されていると忘れてしまいがちですが、受け入れる側としては、派遣社員は社外リソースだということを常に意識し、契約業務内容や業務上の制限、派遣先の配慮義務など、派遣のルールを理解して指揮命令を行い、契約内容等に不明な点があった際には派遣会社に適宜連絡するようにしてください。契約している業務内容は業務上関係している社内のメンバーにも予め明確にしておくと、スムーズに職場に馴染むことができます。

直接雇用の社員やスタッフであれば問題にはならないことでも、派遣社員では契約違反となる場合があります。

一方で、自社社員が利用できる休憩室の利用を派遣社員には禁止するなど、あからさまな待遇差による社内スタッフとの摩擦を生じさせないように配慮することも忘れてはなりません。自社の社員と同様に、契約期間に応じた学びの場を提供するなど、派遣社員のパフォーマンス向上に努めれば、より自社にとって大きな戦力となるでしょう。

自社社員と派遣社員の違いは?

続いては、「派遣社員」と「自社で直接雇用する社員、パート・アルバイトスタッフ」との違いについて解説します。

法律によって定められた派遣できない業務がある

派遣社員は「労働者派遣法」により禁止されている業務があります。

✓ 港湾運送業務

港湾における船内荷役・はしけ運送・沿岸荷役やいかだ運送、船積貨物の鑑定・検量など

✓ 建設業務

土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、もしくは解体の作業、またはこれらの準備に係る業務

✓ 警備業務

事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地などにおける、または運搬中の現金等に係る盗難などや、雑踏での負傷などの、事故の発生を警戒し、防止する業務

✓ 医療関連業務

医師、歯科医師、薬剤師の調剤、保健婦、助産婦、看護師・准看護師、栄養士など。ただし、紹介派遣、病院・診療所以外の施設、産休・育休・介護休などの代替要員、へき地・離島の医師についてはこの限りではありません。

✓ 士業

弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士の業務や、建築士事務所の管理建築士の業務。ただし、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士などについては、一部、派遣可能とされています。

契約によって業務範囲が制限される

派遣社員の契約に関しては、「労働者派遣法」で定められます。労働者派遣法では、派遣先企業に指揮命令権があり、業務用の指示は派遣先が直接行います。ただし、「契約書に記載された業務」を超える仕事に従事させることはできない規定になっています。

パート・アルバイトについては、これまで「パートタイム労働法」によって定められていましたが、2020年4月1日から、より労働者の権利を保護するための「パートタイム・有期雇用労働法」が適用されています。「パートタイム・有期雇用労働法」は、正社員との待遇格差の是正を焦点としています。派遣社員のように業務に関する制限は特に設けられていません。

まとめ:即戦力を確保できる人材派遣サービス

人材不足に悩む企業にとって、貴重な即戦力確保の手段となり得る人材派遣サービスの活用は有効策のひとつです。経営の効率化、人材不足解消に向けて、派遣社員に対する特有のルールを理解し、受け入れ態勢を整える必要があります。

 参考:一般社団法人 日本人材派遣協会

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