派遣社員の管理担当者が知っておくべきポイントを詳しく解説

派遣社員の管理担当者が知っておくべきポイントを詳しく解説

人材不足や会社の方針に合わせた柔軟な人員計画を背景に、派遣サービスを利用する企業が増えています。派遣社員は「正社員ではない」という意味合いで、パート社員やアルバイト社員と同じように考えられることもありますが、雇用主が派遣元(派遣会社)であるため、ルールや管理の仕方が直接雇用している社員とは異なる部分があります。ここでは、派遣社員を受け入れる際に担当者が押さえておくべき管理項目やその項目への対応、派遣先管理台帳の詳細について解説していきます。

派遣社員管理のポイント解説

まずは、派遣社員を受け入れる際に担当者が知っておくべき管理項目はどのようなものがあるのか、について見ていきます。

勤怠管理

出勤・欠勤状況の把握は派遣先企業の責任です。始業・終業時間や休憩時間、時間外業務の適切な管理を行います。毎日の就業に関わる時間を記録し、派遣社員の勤務状況を確認します。年次有給休暇の取得の義務化は派遣社員も対象になるので、派遣先企業は業務量の調整など、派遣元が適切に派遣社員に年次有給休暇を与えられるように配慮が必要です。

対応:
派遣社員の勤怠管理について、出欠簿の用紙、打刻・勤怠管理システムなどの様式は問われません。漏れのないように、稼働した日の開始時間・休憩時間・終了時間・残業時間などの詳細が必ず記録に残るように整備します。勤怠管理は派遣料金に関わってくることなので、厳密な管理が求められます。また、残業時間は36協定等で決まっているので、確認しておくようにしましょう。
勤怠管理については、月に1回以上、派遣元へ報告する義務があります。また、派遣元から問い合わせがあった場合にも、すぐに応じられるようにしなければなりません。休日出勤の可能性がある場合は、あらかじめ派遣元に可能かどうかを相談しておく必要があります。

業務指導・指示

派遣先企業は、「業務に関する指揮命令系統」の明示が義務づけられており、指揮命令者を定めることは、派遣法で決まっています。そのため、派遣契約書には指揮命令者を記し、派遣社員が指示を仰ぐ人物を明確にしておきます。また、派遣先責任者の任命も必要です。派遣先責任者は、派遣社員の適正な就業を確保する役割を担い、派遣元企業とのパイプ役を務めます。なお、同一の社員が指揮命令者と派遣先責任者を兼任しても構いません。

対応:
業務内容の明示と派遣社員、周囲のスタッフへの確認を行います。契約内容外の業務を指示することは、法律によって禁止されています。円滑に作業できるように、手順を示したマニュアルの整備なども必要です。就業開始後の研修、各業務の指導係の任命などについても必要に応じて準備します。作業時の質問相手、業務内容、ルール変更などで派遣社員が戸惑わないように、あらかじめ検討しておきましょう。

健康面での管理

派遣社員の日常的な健康維持管理は、派遣先企業が行います。安全を図り、適切な業務時間内での作業となるように配慮します。契約にはない「危険な場所での作業」が指示されないように周知徹底します。

対応:
派遣先が派遣労働者に指揮命令を行うという実態から、労働基準法上の労働時間、休日、休憩等に係る責任は派遣先が負うため、業務時間の適正化、適度な休憩時間の配慮、危険防止策の実施が必要です。業務場所の温度・湿度管理、感染症対策などにも対応する必要があります。なお、定期的な健康診断は派遣元企業の義務となっているため、派遣元が実施する健康診断を派遣社員が受診できるように業務時間などについての配慮が必要です。

業務に適した環境整備

派遣社員が業務に集中できる環境を整えるのも派遣先企業が行います。業務に十分な作業スペースを提供し、ロッカーや更衣室、休憩室、診療施設なども、派遣社員が正社員と同様に利用できる体制を整えておきましょう。

対応:
派遣社員の就業に伴う安全管理全般及び衛生管理の具体的な事項など、労働安全衛生法上の事業者責任も派遣先にあるため、作業スペースの確保、業務に適した空調、室内の明るさなど、他の雇用形態の従業員と同様の配慮が必要です。更衣室(ロッカー)やリフレッシュルームなども、正社員と同等の施設設備の提供が求められます。正社員と比べて、待遇に格差が生じないように留意しなければなりません。不利益取扱い禁止は、派遣法によって定められた派遣先企業の義務となっています。そのほか、人間関係の保全も業務環境の一環です。

ハラスメント・苦情窓口

不満や苦情を伝える担当者、窓口を設置し、不適切な扱いがあればすぐに対処できるようにします。苦情受付の担当者を指揮命令者や派遣先責任者と同一にせず、業務に関わらない社員を任命するのが適当です。

対応:
苦情窓口は指揮命令者と分離し、苦情を申し出たことにより派遣社員が不利益を被らないように配慮します。ハラスメントに関する派遣先の責務として、「派遣先は、自ら雇用する労働者と同様、派遣労働者についても職場におけるセクシュアルハラスメント対策、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策及びパワーハラスメント対策として、雇用管理上及び指揮命令上必要な措置等を講じなければなりません。」と、厚生労働省の指針にも示されています。ハラスメントにあたるかどうか微妙な問題であっても、派遣社員が気兼ねなく相談できる体制づくりが必要です。

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派遣先管理台帳について

派遣法により「派遣先管理台帳の作成」が定められています。続いては、派遣先管理台帳の概要と記載内容について確認していきましょう。

派遣先管理台帳とは?

適正な派遣就業の確保と契約の適切な履行を促すために、派遣法第42条第2項において、以下のように定められています。

「派遣先は、厚生労働省令で定めるところにより、派遣就業に関し、派遣先管理台帳を作成し、当該台帳に派遣労働者ごとに次に掲げる事項を記載しなければならない。」

派遣先が「派遣社員の稼働した日」や「その労働時間」といった就業の実態を確実に把握すると同時に、派遣元と内容を共有することで適切な雇用管理が行われます。

派遣先管理台帳の記載事項

派遣先管理台帳に記載すべき事項は、以下の通りです。

  • 派遣労働者の氏名
  • 派遣元事業主の名称・事業所名・所在地
  • 労使協定派遣社員であるか否か
  • 「無期雇用派遣社員」か「有期雇用派遣社員」か
  • 就業状況(就業日、就業日毎の就業時間・休憩時間)
  • 派遣社員が従事した業務の種類・責任の程度
  • 派遣就業した事業所の名称・就業場所・組織単位
  • 派遣社員から申し出があった苦情の状況
  • 紹介予定派遣に関する事項
  • 教育訓練を行った日時・内容
  • 派遣元責任者名・派遣先責任者名
  • 派遣受入期間の制限を受けない業務について行う労働者派遣に関する事項(該当する場合に記載)
  • 労働、社会保険の被保険者資格取得届の有無
  • その他厚生労働省令で定める事項

派遣先は、それぞれの派遣社員について個別に派遣先管理台帳を作成し、これを派遣終了後3年間保存しなければなりません。派遣元に対しては、月に1回以上、管理台帳の内容を通知します。通知方法は、派遣社員ごとにFAX、メール、書面で行います。また、派遣元から上記の開示請求があった場合は、速やかに実施する必要があります。

派遣管理方法の注意点

派遣管理方法については、派遣法などの法令を遵守し、派遣社員が安全かつ健康的に働けるよう取り計らうことが求められます。

始業や就業、休憩時間などの労働時間に関する管理は派遣先が行います。一方、休日や有給休暇などの管理は派遣元が担当します。賃金の管理も派遣元の管理対象となるため、派遣先企業が関わる必要はありません。時間外労働や休日出勤に関しては、派遣元との協定が前提となっており、勝手に就業させることはできません。

また、契約外の指示は契約違反となるため、周囲で働く社員にもその旨を周知しておく必要があります。契約外の業務に従事させたい場合は、派遣元・派遣先・派遣社員の3者で協議し、契約変更を行います。

まとめ:派遣先企業としての義務を確認しておくことが重要

派遣管理のポイントは、指示命令、業務環境および派遣社員の健康の保全、契約の適切な履行です。派遣先管理台帳は、派遣社員の業務遂行状態を正しく管理し、派遣元と情報共有するために作成されます。派遣サービスの活用は利便性が高く、企業ニーズを満たしてくれますが、同時に派遣先としての管理責任を伴うことを念頭におかなければなりません。法令を遵守し、派遣元や派遣社員とのトラブルが生じないようにするためには、派遣先企業としてなすべき義務をしっかりと確認しておくことが重要です。

参考:
派遣労働者を受け入れる派遣先として留意すべき点について|大阪労働局
派遣労働者を受け入れるに当たって|東京都労働相談情報センター
派遣労働者の安全衛生対策について|厚生労働省
派遣先にも、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法が適用されます(PDF)|厚生労働省

 

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