派遣禁止業務とは?人材派遣を利用する企業が知っておくべきこと

派遣禁止業務とは?人材派遣を利用する企業が知っておくべきこと

人材派遣は、必要な時に必要な人材を確保することができる利便性の高い手段です。急な欠員や期間限定の業務、専門性のある人材が必要になったなど、多くの企業が活用しています。

しかし、派遣では通常の社員雇用とは異なり、禁止されている業務があります。気づかずに従事させてしまうと、故意ではなくても法令違反となるため注意が必要です。

ここでは派遣の禁止業務、及びその他の禁止事項を解説していきます。

人材派遣のルールを定める「労働者派遣法」

労働者派遣法の正式名称は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」です。名称が示す通り、労働者派遣事業の適切な運営と派遣労働者が安心して働くための項目を定めています。また派遣先にも関係がある禁止事項が定められていますので解説します。

人材派遣では労働者が雇用契約を結ぶ企業と、実際に指揮命令を受けて業務にあたる企業が異なります。労働者派遣法はこうした環境下にある労働者の安全や労働環境の整備、業務上の監督責任についての所在を明らかにするとともに、雇用の安定や福祉の充足を図ることを目的としています。

さらに、労働者派遣法では派遣先にも関係のある禁止事項が定められていますので、以下に解説します。

 

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01. 人材派遣サービスの仕組み
02. 派遣スタッフを受け入れするまでに
03. 派遣契約の締結
04. 派遣先に求められる基本的な労働法知識
05. 派遣スタッフ受け入れにあたってのコツ
06. Q&A

   

派遣禁止業務

禁止業務の具体的な内容については、現場での判断が付きにくいものも多数あります。派遣禁止業務の詳細について確認していきましょう。

 

建設業務

派遣が禁止されているのは、建築や土木現場の作業に従事する業務です。建設関連の業務については、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」によって雇用主と指揮命令が同一であるよう規定されています。そのため派遣の形態とは一致しません(派遣社員の雇用主は派遣元企業)。

建設業務は下請けが何重にも発生することが多く、指揮命令者が直接労働者を雇用すべきであると考えられます。
禁止される建設業務にあたるものとして、新しい建物の建築だけではなく、改築や修理、変更、解体作業、さらにその準備作業も含まれます。

禁止業務の具体的な例としては、以下のようなものがあります。

  • 建築現場での資材の運搬・組み立て・家屋の解体
  • 工事現場での掘削・埋め立て作業、資材の運搬・組み立て
  • 建築・土木工事でのコンクリート合成や建材の加工
  • 建築・土木工事現場内での資材や機材の配送(現場外からの配送は対象外)
  • 壁や天井・床の塗装や補修、固定、撤去
  • 電飾版や看板などの設置、撤去
  • 配電・配管工事、機器類の設置
  • 建築・土木工事現場の開錠・開閉の管理、車両の出入りの管理・誘導
  • 現場の整理・清掃
  • イベント会場の大型テント・大型舞台の設置
  • 仮設住宅(プレハブ住宅等)の組立

 

港湾運送業務

派遣禁止業務となっているのは、埠頭(ふとう)において主に貨物の積み降ろしに関わる仕事です。
港湾における業務は、日によって仕事量に大きな差があります。そのため安定的な人材確保が難しく、その特殊性に考慮し「港湾労働者派遣制度」が導入されています。荷物輸送や保管、荷役などの業務に関しては「湾岸労働法」に基づく「港湾労働者派遣制度」で詳細が規定されており、一般の派遣とは区分けされています。

禁止業務の具体的な例としては、以下のようなものがあります。

  • 湾岸と船舶間の貨物の積み降ろし
  • 船舶上の貨物の移動、固定
  • 船舶上、船舶から降ろした貨物の荷造り・荷ほどき
  • 船舶上の貨物の梱包・袋詰め・包装のし直しなど
  • 船舶や湾岸における貨物の積み降ろし場所の清掃
  • 港湾内での貨物の運送(船舶で運ばれたもの)
  • 港湾倉庫内での貨物の荷解き、仕分け作業
  • 運送車両・鉄道への船舶および湾岸倉庫からの貨物の積載や荷降ろし

 

警備業務

派遣が禁止されているのは、店舗や事務所、企業、住宅、催事場、駐車場、遊園地などの安全を図り、事故の発生を防止する警備業務です。現金輸送といった重要器物に関する警備も含まれます。

警備業務に関しては「警備業法」により請負形態で業務を処理することが求められています。請負では、警備員を派遣する警備会社が現場の指揮命令を直接行います。危険を伴う可能性のある警備業では、労働者に対する責任の所在を明確にするため、間接的雇用となる派遣業務は認められません

禁止業務の具体的な例としては、以下のようなものがあります。

  • 催事場、店舗前での手荷物検査
  • 不審者への声かけ・注意
  • 警戒のための巡回・巡視
  • 混雑する場所での人の整理、駐車場での誘導
  • 不審者の追跡など
  • 運搬中の貴重品の監視
  • 防犯通報の待機
  • 警備目的での常駐


なお、以下のような例では、頻度が高くなると禁止業務に該当する可能性があります。

  • 販売業務に従事する派遣労働者が、レジ前で混雑する列を整理する(声かけを行う)
  • 受付業務に従事する派遣労働者が、受付前の不審な動きをする人物に声をかける

 

病院や医療関連施設における医療関連業務

病院や診療所など医療関連施設における医師、看護師、准看護師、薬剤師、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、保健師、助産師、臨床工学技士、義肢装具士、栄養士、救急救命士、診療放射線技師、言語聴覚士などの医療関連業務については、派遣禁止業務とされています。

理由としては、診療・治療を行うに当たり、一定レベルの維持とチーム医療としての意思疎通が必要となるため、派遣業務に適さないことが挙げられます。

ただし、次のような理由であれば、対象より除外されます。

  • 紹介予定派遣:派遣期間満了後に直接雇用が前提となっているケース
  • 社会福祉施設といった、病院・診療所以外での業務
  • 産休・育休・介護休業期間の代替業務
  • へき地や離島など、都道府県(医療対策協議会)が認めた場所での医師の業務

 

士業

弁護士、税理士、外国法事務弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、公認会計士など、いわゆる「士業」に当たる業務は、派遣の対象外とされています。これらは個人で資格を有し、依頼人から委託された業務を行います。指揮命令を受けることがないため、派遣対象外となっています。

ただし、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士の業務については、一部で労働者派遣が可能となるという例外もあります。

 

その他の禁止事項

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国では派遣労働者保護のため、そのほかにも禁止事項を設けています。派遣先企業として留意すべき禁止事項を解説します。

日雇派遣禁止

短期間での派遣就業の場合、労働者の雇用が不安定になる、また派遣会社、派遣先企業共に適正な雇用管理をすることが難しいという判断から、2012年の改正労働者派遣法で、日雇い労働者(日々もしくは30日以内雇用期間)の派遣は原則禁止となりました。

日雇派遣禁止から除外されている労働者と業務もあります。日雇派遣禁止の例外とされる条件は以下の通りです。労働者・業務のいずれかの条件を満たせば、日雇派遣が認められています。

 

日雇派遣が可能な労働者

  • 60歳以上の人
  • 雇用保険の適用を受けない学生
  • 副業で従事する人(生業収入が500万円以上)
  • 主たる生計者以外の人(世帯収入が500万円以上)

日雇派遣が可能な業務

  • ソフトウェア開発・機械設計・研究開発
  • 通訳・翻訳・速記・秘書<
  • 事務用機器操作・ファイリング・取引文書作成・財務処理
  • デモンストレーション・OAインストラクション
  • 受付・案内・添乗
  • 事業の実施体制の企画・立案・調査
  • 書籍等の制作・編集・広告デザイン
  • セールスエンジニアの営業・金融商品の営業

 

離職後1年以内の元社員の派遣受け入れ禁止

離職後1年以内の元従業員は就業時の雇用形態にかかわらず、派遣社員として受け入れることができません。
派遣社員になることで、労働条件が引き下げられることを回避するためです。
労働者自身が希望しても、離職後1年間は派遣社員として業務に就かせることができません。

 

まとめ:派遣社員の禁止業務を理解し適切な対応を

現場の状況によっては、派遣の禁止業務に該当するのかどうか判断しかねる場合も少なくありません。業務内容に関して適法かどうかの判断が難しい場合には、独自の判断は禁物です。必ず都道府県労働局に派遣禁止業務か否かの判断を仰ぎ、都度、適切な対応を行うようにしましょう。

     

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03.派遣期間の制限
04.直接雇用労働者の募集情報提供
05.派遣先責任者とは
06.離職者の受け入れ禁止について
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